第3章 研究職必見 ~意外に知られていない業界特化型・職種特化型エージェント~

まず押さえておくべき転職エージェントは、リクルートエージェント、ビズリーチ(+リクルートダイレクトスカウト)、JACリクルートメントというお話をしました。特殊と思われる研究職であっても、基本的には、これらエージェントに登録しておくべきです。私は最終的にはJACリクルートメントに絞って転職活動を進めました。

大手転職エージェントは幅広い業界を手掛けているのでまず間違いなくあなたが狙っている業界の取り扱いはあるはずです。しかし、希望する案件がなかなか来ない場合があります。その時は、業界特化型のエージェントに登録することをお勧めします。とくに、本ブログが対象としている現役研究職にとって、業界特化型エージェントは、「これぞ!」と思える案件に当たる可能性がかなり高まります!

本ブログでは対象外ですが、弁護士などの士業の転職も特化型エージェントのほうが適した案件を紹介される可能性が高いです。すぐにでも本格的に転職活動をしたい。と考えている方は、業界特化型エージェントへ登録するのはかなりオススメです。特化型エージェントは、そのエージェントしか扱っていない独占求人を有することがあります。

ただし、メーカー系専門エージェントなどの業界特化型エージェントは、研究開発や生産現場などの求人が多いです。研究職から、経営企画や事業企画などを希望するなら職種特化型エージェントに登録してみるのがよいかと思います。

業界特化型エージェント一覧

業界特化型で見ておきたい転職エージェントは以下の通りです。
ただし、MEITEC NEXTはかなりエンジニア色が強い点は意識しておいてください。

業界エージェント
化学、電気、機械、ITMEITEC NEXT
製薬Answers
製薬製薬オンライン
食品食品業界CAREER
食品・製薬・化粧品などRD SUPPORT

では、早速具体的に見ていきましょう!

1.MEITEC NEXT

求人数求人数10,000件以上(非公開含む)
対応業界化学、電気、機械、IT
対応職種主力はエンジニア
年齢層20代から50代前半など幅広い実績
URLhttps://www.m-next.jp/
(2024年8月)

MEITEC NEXTはエンジニア求人が主力ですので、一見、本ブログで対象とする研究職(非エンジニア)には不適のように見えるかと思います。しかし、化学・素材系業界の求人は掲載されていますので、今あるスキル+エンジニアを目指す研究者であれば、一度、MEITEC NEXTに登録してみる価値はあります。

2.Answers

求人数公開求人数 1,750件
(推定非公開求人数 約4,000件)
対応業界製薬
対応職種研究、製造、マーケティング、事業開発まで幅広い
年齢層不明。30代の公開転職事例が多い。
URLhttps://answers.ten-navi.com/
(2024年8月)

Answersは製薬業界に特化した転職した転職エージェントです。取り扱い求人は製薬会社が多いですが、中には一部門として医薬品を扱っている化学企業や繊維企業なども掲載されています。

取り扱い職種は研究、製造関連のみならずマーケティングや事業開発まで様々に扱われています。

製薬業界は、やや特殊な業界でもありますので特に業界経験を強く求められる傾向にあります。とはいえ、実際に異業種から転職に成功している人も多く存在します。製薬業界に興味がある方は是非チャレンジしてみてください。

メーカーでは製薬会社は飛びぬけて年収水準が高いです。同じような能力の人が同じような仕事をしていても業界が違えば収入が大きく変わることは少なくありません。可能であれば、全体として年収が高い業界を狙うのが得策でしょう。

3.製薬オンライン

求人数求人数 約3,000件
(非公開求人数 不明)
対応業界製薬
対応職種研究、製造、マーケティング、事業開発まで幅広い
年齢層転職事例では40代のケースが多数あり
URLhttps://www.seiyakuonline.com/
(2024年8月現在)

製薬オンラインは私もお世話になっています。製薬オンラインの良いところは、大手転職エージェントでは一度も来なかったような転職案件が来る点です。特化型エージェントは、当然、対象領域を絞っていますので求人数は少ないですが、たまに意外な案件が寄せられます。

私の友人も転職活動をしていた時、「大手エージェントでは希望にあった案件は一度も来なかったが、特化型エージェントだと良い案件を何度も紹介してもらった。」という話をしていました。特化型エージェントは決して軽視できない存在なのです。

4.RD SUPPORT

求人数公開求人数 約2,500(非公開求人数 不明)
対応業界食品、化粧品、化学、バイオ・ヘルスケア
対応職種研究から経営企画、営業まで幅広い
年齢層20代~50代(中心は30代と思われる。)
URLhttps://www.rdsupport-tenshoku.jp/
(2024年10月現在)

研究職のキャリアの幅を広がらせてくれるエージェントがRD SUPPORTです。求人検索のページを見ていただくとわかるのですが、検索条件がそれなりにマニアックですので食品や化粧品、化学などの知見があることがわかります。

また、RD SUPPORTは「日本の研究開発を進化させる」ことをミッションとして掲げており、「求人の数は多いが、手薄」になりがちな大手エージェントとは異なるポジションで勝負しています。

研究職でさらにチャレンジングな仕事を探している方は試してみる価値はあるでしょう。

職種特化型エージェント

続いて、職種特化型の転職エージェントです。

職種エージェント
事業開発AGAROOT
経営企画プロフェッショナルバンク
経営企画WARCエージェント
管理部門管理部門キャリア


研究開発職であっても、経営企画や事業開発など、比較的業界横断的に使えるポータブルスキルを有する人(一時的にこのような部門に在籍していた、MBAホルダーなど)には職種特化型転職エージェントがおすすめです。

1. AGAROOTキャリア

求人数公開求人数 なし(非公開求人数 不明)
対応業界全業種
対応職種弁護士、公認会計士、経理、経営企画、事業開発など
年齢層不明(20~30代を中心にしている可能性あり。)
URL
(2024年12月現在)

この転職エージェントは、弁護士用では?と思われた方は正しいです。
たしかに主力は弁護士を中心とした士業ですが、カテゴリー別で「経営企画職」と「事業開発職」のサイトが存在します。AGAROOTはハイクラスの案件を有しており、大手企業からスタートアップ企業まで取り扱いは幅広いです。

同社が主に取り扱っている年齢層は不明です。
しかし、公開コラムなどを確認すると、おそらく力を入れている年齢層は20~30代が中心だと予想されますので、その点は注意が必要です。

また、専門性を売りにしている転職エージェントですので、細かい要望のすり合わせには期待ができます。
転職エージェントでの落とし穴は、専門性の低い担当者の場合、こちらの要望を理解してもらえない。という事態がしばしば生じることです。

自分自身のキャリアの専門性が高くなるほど、この問題が起こります。
要望が理解してもらえない問題は、かなり致命的ですので注意する必要があります。
合わない場合は、担当者を変えてもらうことをお勧めします。

2.プロフェッショナルバンク

求人数公開求人数 約130(非公開求人数 3,000件以上)
対応業界製造業、IT、コンサルなどを中心とした全業種
対応職種事業企画・事業開発、経営企画、経理・会計、CxOなど
年齢層30代~50代
URLhttps://www.pro-bank.co.jp/
(2024年8月現在)

Professional Bankはハイクラス層の転職に特化しており、なかでも技術職、専門職の転職が得意です。実績としても80%以上が技術職と専門職のヘッドハンティングとなっています。

面白いのはこの会社はスカウトではなく、ヘッドハンティングが中心である。ということです。スカウトとヘッドハンティングの違いですが、以下の通りです。
①スカウト:主に転職活動中の人材が対象
②ヘッドハンティング:他社で就業中の転職を希望していない人材も対象

かなり地道な仕事といえますが、ここがプロフェッショナルバンクの独自性であり強みなのです。

また、専門職とは営業・マーケティング職、企画・管理部門職を指しますが、年代別の転職成功者データによると30代が44%、40代が35%、50代以上が8%となっています(参考)。一方、年収は1000万円以上が10%ほどですので、驚くほどのエリート層に特化したスカウトか?と言われるとそうでもなさそうですが、私の肌間ですとこの年収レンジは今は上がってきているようにも感じます。

移籍後の定着率は99%と記載されており、マッチング精度はかなり高いです。
なぜ、このように定着率が高いかというと、入社までに希望をしっかりすり合わせて納得したうえで入社してもらうからです。担当者のお話によると転職することのメリットのみならず、デメリットもしっかりお伝えするということで、信頼性は高いと思います(このデメリットをしっかり伝えないエージェントは少なからず存在しますので注意が必要です)。

ミスマッチにより転職を繰り返すことは、精神的にも経済的にも負担が大きくなりますので、事前に、しっかりと要望のすり合わせすることはものすごく重要です。

3.WARCエージェント

求人数求人保有数1,000社以上
対応業界IT業界
対応職種経営企画・経理財務・情報システム・人事労務など
年齢層不明
URLhttps://agent.warc.jp/
(2024年12月現在)

WARCエージェントは、IT業界のベンチャー企業を中心とした転職エージェントです。
求人案件の1/3以上が年収1000万円以上であり、ハイクラスの求人が確かに多いです。

一方で、掲載されている求人の業界はITベンチャーがほとんどです。
さらに求人はCFOや経営企画、経理財務が中心ですので、いきなりライフサイエンス系研究職が目指すのはハードルがかなり高いです。

ご参考までの紹介となりますが、もし会計系の知識・スキルを有しているのであればチャレンジしてみてもよいと思います。

4.管理部門キャリア

求人数公開求人数1000件以上(非公開求人数 不明)
対応業界幅広い業界(IT系、製造業など)
対応職種管理部門(経理・人事・総務・法務・広報・IR・経営企画・事業企画)など
年齢層不明
URLhttps://kanri-career.mediahouse.co.jp/
(2024年11月現在)

管理部門キャリアは公開されている情報が少ないのですが、1983年 設立の株式会社メディアハウスホールディングスによって運営されています。従業員も約400人在籍しています(根拠情報)。

管理部門色が非常に強いのですが、求人検索をすると新規事業関連求人がヒットします。新規事業は、多様性を求めて募集していることもあるので、意外なところでよい案件が見つかる可能性もあります。

以上が注目しておくべき業界特化型、職種特化型エージェントとなります。数多くのエージェントが存在しますが、ハイクラス求人という意味ではこれらをとりあえず頭の片隅にでも入れておけば大丈夫でしょう。