この記事では、必ず登録しておくべき転職エージェント3社(+1社)の特徴を説明します。
「第1章 間違えない転職準備の始め方」 で説明した通り、まず登録しておくべき転職エージェントは決まっています。
しかし、注意していただきたいのは、本ブログの想定読者層は「大手国内優良企業に勤める30代半ば~40代 (=本ブログでは「潜在ハイクラス層」と呼びます)という点です。
転職関連のブログでは、まったく読者層を全く想定せず転職エージェントのランキングを羅列しているものも多数存在します。これは極論、「水泳選手に、お勧め空手道場ランキングを勧めているのに等しく」効率的ではありませんので注意してください。
今回紹介するエージェントは、あなたにとって100点満点のエージェントではないかもしれません。しかし、転職初期活動において大きくハズさない有益なサービスであることは間違いないです。まずは確実に押さえていきましょう。
ハイクラス転職で押さえておくべき3つ(+1)のエージェント
重要転職サービスを以下の観点から整理しました。早速、確認していきましょう。
求人数 |
年収800万円を含む求人数 |
年収1000万円を含む求人数 |
主要年齢層 |
得意な業種 |
得意な職種 |
1位 リクルートエージェント

求人数 | 約39万件/非公開 約22万件 |
年収800万円を含む求人数 | 約10万件/非公開 約11万件 |
年収1000万円を含む求人数 | 約4万件/約6万件 |
主要年齢層 | 26~35歳 |
得意業種 | IT・通信、医薬、機械・輸送機器、流通・接客・貨物、化学・素材 |
得意職種 | 営業、IT・通信系エンジニア、事務スペシャリスト、電気・機械・化学エンジニア、医薬品営業 |
表中の求人数は「公開求人数/非公開求人数」の順に記載しています。高年収ほど非公開件数の比率が高くなりますが、具体的な案件は求人検索ではヒットしません。したがって、高年収層ほどエージェントから非公開求人の紹介が必要なのです。
さて、リクルートエージェントは最も利用者の多い転職エージェントです。ハイクラス転職に特化しているわけでもなく、ミドルが有利なわけでもありませんが、幅広く情報を収集するためには、まず登録しておきたいエージェントです。「こんな求人があるんだ。」と視野が広がり、これまで気づかなかったキャリアの可能性が見えてきます。
ハイクラス求人も多い!
リクルートエージェントはハイクラス特化型エージェントではありませんが、決してハイクラス求人が少ないわけではありません。採用側の企業も、すべてのエージェントで求人広告を出せるわけではありませんので自ずとエージェントは選抜されます(ちなみに全国転職エージェント数は約24,000社もあるとされています。 厚労省「平成30年度職業紹介事業の集計結果」)。
そうすると、企業の予算が許す限り、有名エージェントに求人案件が集中すると考えられます。これがリクルートエージェントをまず押さえておくべき最も大きな理由です。
望まない案件ばかり紹介されることがある。
リクルートエージェントは、優れたサービスではあるものの専門的知識が薄い担当者が多く、見当違いの案件を紹介されることがあります。口コミを調べても同様の内容が多数書かれているのですが、私の実体験としても全く同じことを経験しました。
私は技術系専門職でしたので、おそらく一般の方が聞いても理解がなかなか難しい職種内容だったと思います。丁寧に説明し具体例も出しましたが、聞く相手も一定の勉強が必要になってきます(数学でいきなり微分を説明されて、自学なしに理解できないのと同じです)。
ただ、担当者は勉強している様子はなく、毎度全く的外れな案件ばかり紹介してきました。「それは違います。私の専門は・・・」と何度か説明しましたが、結局、担当者から連絡は来なくなりました。
ミドルの転職になると単純に経理、とか知財とかで説明できるものではなく、より複雑なスキルを持つ方が圧倒的に多くなるかと思います。ものすごい強みであるにもかかわらず、それが言語化できなければ採用側の企業に伝わりません。その能力に乏しい担当者に当たると、時間を浪費しますので早めに担当者を変えてもらうのが得策です。
ミドルの転職実績割合は、全体の30%を占める。
リクルートエージェントでは幅広い年齢層が転職に成功しており転職先が決まった人の平均年齢は35歳です。2023年のデータによると、リクルートエージェント経由でのミドルの転職者割合は以下の通りです(リクルートエージェント)。
35~39歳 14%
40~49歳 16%
ちなみに20~35歳は約60%を占めますが、それでもミドルの転職割合は30%になりますので、決して少なくありません。
また、登録者の年齢構成はミドル(36~50歳)が27%を占め、35歳以下が64%となっています。つまり、ミドルの登録者割合と転職成功者割合の比率は、若手とほぼ同じなのです。少しわかりにくいかもしれませんが、要するに、リクルートエージェント経由で転職した場合、ミドルも若手もほぼ同じ成功率であり、ミドルだからと言って不利ではない。といえるでしょう(参考リンク)。
以上のように、リクルートエージェントはハイクラスミドルに特化しているわけではありませんが、求人数の多さ、やミドルの転職成功割合の高さから、まず押さえておきたい転職エージェントとなります。そして、年収水準が高い案件も豊富にあります。ただし、担当者の質の面から言うと、当たり外れがありますので、他のエージェントを併用するのが良いです。
2位 ビズリーチ

求人数 | 約12万件/非公開 不明 |
年収800万円を含む求人数 | 約10万件/非公開 不明 |
年収1000万円を含む求人数 | 約10万件/非公開 不明 |
主要年齢層 | 31~45歳 |
得意業種 | 全業種(比較的IT、金融、コンサル系) |
得意職種 | 全職種(各種リーダー層、経営幹部、コンサルなど) |
ビズリーチは、一見、転職エージェントのように見えますが、実は違います。ビズリーチは「転職エージェントやヘッドハンター、企業の採用担当者」と「求職者」を直接つなぐプラットフォームです。
一般的には、ヘッドハンターと転職エージェントの違いは、転職エージェント=一般的な求職者を相手とする。ヘッドハンター=限られた優秀層を相手にする。という違いがあります。
ビズリーチからの具体的なスカウト方式ですが、以下の3つのタイプがあります。
①企業採用担当者から直接スカウト
②ヘッドハンターからの具体的ポジション提示
③ヘッドハンターからの転職エージェントサイトへの登録のお誘い
①と②は、本当の意味でのスカウトですが、③は単に、転職エージェントサイトの登録者獲得が目的ですので文面から、よく判断するのがよいでしょう。実際の求人票(具体的にどの企業がどういう条件で求人出しているのかを示した書類)をが添付されていないスカウトは、③に該当するケースが多いです。
転職関連コンテンツが充実している。
ビズリーチアプリは「キャリア・転職コラム」というものを高頻度で更新しており、転職活動を飽きさせないようにさせています。内容は個人的な体験談が中心ですが、読み物として面白いと思います。
ほかにも「データでみるキャリア・転職」「転職活動に関する疑問」などのコンテンツが用意されており、様々な疑問に答えられるようになっています。無料で見れますので、登録しない手は無いでしょう。
加えて、「ビズリーチ運営事務局」なるところから毎日のように自動配信による求人案内が届きます。この自動配信は完全に機械的に送られていますので、開く価値はかなり少ないと考えてよいでしょう。ヘッドハンターなどがあなたのキャリアに興味を持っているわけではありません。
高年収案件が多い。
ハイクラス転職を全面に押し出しているだけあって、確かに案件自体の年収は比較的高めです。求人数12万件に対して、1000万円以上は10万件となっていますが、ほとんどの案件で年収上限は1000万円を超えています。
期待するほどスカウトが来るわけではない。
人にもよるかと思いますが、期待しているほどたくさんのスカウトが来るわけではない。と思っておいたほうが良いです。私自身は、1~2か月に1回程度、ちらほらスカウトが来る程度でした(笑)。登録初期はもっとスカウトの頻度は高くなります。
いろいろなメディア情報のイメージから「自分はスカウトされまくる!」みたいな幻想を持つと逆にがっかりしますので、期待値は低めが良いです。それでも40代から転職は可能です。
ビズリーチは転職案件の質、情報ともに質の高いサービスを提供しています。無料の範囲でも十分ですが、フル活用するためには有料サービスを利用する必要があります。そのため、「転職活動はすべて無料で行いたい。」という方は、他の転職エージェントへの登録が必須となります。
ビズリーチの良いところは、様々なエージェントや企業から直接、興味深い案件が届く可能性があるということです。つまり、転職活動の視野が確実に広がり、かつ自分の市場価値の感度がつかみやすくなるのです。
3位 リクルートダイレクトスカウト

求人数 | 約30万件/非公開 不明 |
年収800万円を含む求人数 | 約10万件/非公開 不明 |
年収1000万円を含む求人数 | 約4万件/非公開 不明 |
主要年齢層 | 全年齢層 |
得意業種 | 全業種(比較的、IT、メーカー、コンサル、金融など) |
得意職種 | 全職種(IT、コンサル、マーケティング、管理、企画など) |
リクルートダイレクトスカウトは公開求人数全体としては、ビズリーチよりも多いですが、高年収の割合は下がります。また、年収1000万円以上も少なくなります。非公開求人数は明らかにされておりませんが、私の肌感覚では、やはりビズリーチのほうが高年収案件が多いように思います。
ちなみにリクルートダイレクトスカウトでは転職実績のある年齢層は公開されておりませんが、登録者の各年代ほぼ均等となっています(登録者年齢層)。
利用者は完全無料で登録審査なし。
ビズリーチでは、無料会員と有料会員で受けられるサービスに差があります。一方で、リクルートダイレクトスカウトは完全無料ですのですべてのサービスが無料で受けられます。登録審査もありませんので、ビズリーチのようにはじかれることがありません。(とはいえ、本ブログの想定読者層であれば、まず、ビズリーチでもはじかれることはないと思います。)
審査が無いことの裏返しかと思いますが、場違いとも思える転職エージェントからのスカウト(完全未経験、低年収案件など)が多数送られてくることがあります。
リクルートエージェントとリクルートダイレクトスカウトどっちが良いのか?
ここまで読み進められたかたは、もうお分かりかと思いますが、「リクルートエージェント」は転職エージェント。「リクルートダイレクトスカウト」はビズリーチと同じ「転職プラットフォーム」です。
したがってリクルートダイレクトスカウトに登録すると普通にリクルートエージェントからもスカウトが来ます。リクルートエージェントとは機能が違いますので、どちらが良い。という判断はできません。
基本的には、「リクルートエージェント」+「ビズリーチ」でよいかと思います。しかし、本格的に転職活動をするならリクルートダイレクトスカウトにも登録しておくのが良いです。なぜなら、ビズリーチとは異なる求人情報を得ることができますし、何よりもリクルートダイレクトスカウトのほうがビズリーチよりもスカウト回数が圧倒的に多いからです(ヘッドハンター数はビズリーチよりも少ないとされていますが、スカウトにかかる料金の違いがあるため、リクルートダイレクトスカウトからのほうがスカウトが多いと予想されます。)。
4位 JACリクルートメント

求人数 | 約1.3万件/非公開 不明 |
年収800万円を含む求人数 | 約1.0万件/非公開 不明 |
年収1000万円を含む求人数 | 約0.6万件/非公開 不明 |
主要年齢層 | 25歳~(特に45歳以上の割合が大きい) |
得意業種 | 全業種 |
得意職種 | 技術系(製造業)、営業・マーケティング、管理部門、ITなど |
JACリクルートメントはリクルートエージェントと同じく転職エージェントです。ビズリーチのような転職プラットフォームではありません。公開求人数はリクルートエージェントのおよそ40分の1で、圧倒的に少ないです(笑)。
しかし、JACリクルートメントは、かなりおすすめできる転職エージェントです。本気で転職活動を進める人に対しては「1位」にランキングさせたいくらいです。
求人数は必ずしも数が多ければよいというものでもない。
違和感があるかもしれませんが、JACリクルートメントでは求人数が少ないこと自体が実は強みとなっています。

JACリクルートメントでは担当者は「コンサルタント型」となっており、企業と転職希望者のニーズを絶妙にマッチングさせるのです(上図)。具体的には、コンサルタント型では、担当者(=コンサルタント)が企業に直接訪問し、「採用したい人物像」を聞き出します。
そして担当者(=コンサルタント)自身が、転職希望者と面談し、企業と転職希望者のニーズを詳細にすり合わせます。この形式を両面型とも言います。
一方、通常の転職エージェントでは、「分業型」となっており、企業を訪問する担当者(=営業担当)と転職希望者と面談する人(=キャリア担当)は異なります。分業型のほうが効率面では優れますが、企業と転職希望者のニーズのずれが生じるケースが多くあります。
リクルートエージェントのような大手は、基本は分業型(=片面型)を採用しています(ただし、大手でも一部、両面型を採用している部門が存在する場合もあります)。大手エージェントを使うと「希望を伝えても、的外れ案件を多く紹介される。」という悩みが生じるのは、分業型を採用しているからともいえるでしょう。要するに、転職活動の効率がかなり悪くなるのです。
かゆいところまでサポートしてくれるのがJACリクルートメント。
ミドルが本格的に転職活動を行うならJACリクルートメントへの登録は必須だと私は考えています。というのも、ハイクラスミドルでは、スキルは非常に高いものの、そのスキルを文字として表現するのが非常に難しい場合があるからです。
相手先の企業の募集要項も書面を読むだけでその真意を知ることは至難の業でしょう。ここで活躍してくれるのがJACリクルートメントのコンサルタントです。コンサルタントは両面型ですので、双方の希望を直に伝えることができます。これは、片面型のエージェントでは、難しい方法になります。
コンサルタントの質に違いはある。
JACリクルートメントでは一人の担当者が選任としてサポートしてくれるわけではなく、案件ごとに担当者が異なります。従って、良い案件を持ってくるコンサルタントとそうでない人の違いがはっきりと分かってしまいます。
しかし、基本的に、こちらの要望を先方に伝えることや、面接対策、面接後のアフターフォローなどはかなり充実しています。特に面接対策は、一般的な方法論のみならず、その企業に対応した対策をしてくれますので、かなり役立つでしょう。
次は、業界特化型の転職エージェントについて説明します。
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